日本酒ものがたり | 飯沼本家

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第三話 「不要不急」と酒蔵

酒造り基礎知識

600e95a2-3484bfe3昨年より続く新型コロナ騒動。暮れからお正月にかけての陽性者の爆発的増加が、また世の中を不安に陥れている。毎日のようにまるでお経のように唱えられている「三密対策」や「不要不急」。今や日常になったこの言葉は、私にとって大きなストレスになっている。この言葉の是非を問うているのではない。何が不要で何が不急なのか。


私たち酒類にかかわる仕事をしている人間にとって、その産業自体そもそも不要なのではないか、とさえ思ってしまう。お酒なんて飲まなくとも全く困らないのだから。もしかしたら、飲酒運転の問題をはじめ、お酒にまつわる困りごとの方が多いのかもしれない、などと惨憺たる思いに駆られてしまう。


一時、「ミニマリスト」が大きく取り上げられた。モノを持たない人たちのことだ。


最低限のモノだけで生活する人たちのことだという。それもいいなぁ、と思った。家事も楽になるだろうし、引っ越しも楽にできるだろう。家も汚れないしいいことづくめ…。が、私には無理だな。


置物も、絵も、何もない部屋を想像してみる。用は足りるのかもしれない。だがさっぱりしているのだけれど、殺伐とした感は否めない。思うに、置物も絵も+αのもの。+αとは、色を付ける役割を持っているではないか。それらが部屋や暮らしを彩ることで、心を癒しているとは言えないだろうか。


お酒は大古の昔から人々の間で飲まれてきた。冠婚葬祭だけでなく、日々の楽しみとしてもだ。それらはおおかた+αの範疇だろう。そしてその中で文化が生まれ、文化から新しい産業も生まれてきた。「不要不急」。今は大事なことかもしれない。しかし不要なこと、不急なことこそが、私たちの生活に色を与え、文化を育み、まいにちを心豊かに演出しているディレクターなのだ。


もちろん「ミニマリスト」もまた、文化のひとつであることは付け加えておく。


written by イイヌマ ミキコ


 


 

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