酒造りの最前線に携わる蔵人が語る、日々の仕事にまつわるあれやこれや。
第三回目は、樽(こも)巻き担当の鈴木が担当します。
あけましておめでとうございます。樽(こも)巻き担当の鈴木です。
今回は「樽」が完成するまでのお話をご紹介したいと思います。
樽のサイズですが、当社で扱っている物は5種類です。
1斗樽(18ℓ)
2斗樽上底(18ℓ)
2斗樽(36ℓ)
4斗樽上底(36ℓ)
4斗樽(72ℓ)
上底は樽の高さが半分になりますが、組み上げる時に下に空洞を作るため、完成後の見た目の大きさは変わらないです。
まずは樽の中に水を入れるところから始まります。
杉の木と竹で組まれている樽は乾いてくると隙間ができてしまい、このままだとお酒が漏れてしまいます。
水を吸わせる事で木が膨張し、隙間を無くしてくれます。
使用直前に水を出し、これで安心してお酒を入れられます。
使用する縄と、菰(こも)です。
太さも長さも違う縄は4種類。
昔と違い縄と、菰は、合成された素材で出来ています。
樽に、お酒は入っています。(1斗樽)
樽の保護と肉付けのために、発泡スチロールを取り付けます。
昔はワラを巻いていたそうです。
樽を一度横にして、位置を決めながら、樽に菰を巻きつけて起き上がらせたところです。
ここでのポイントは、ゆるめず、まっすぐ巻く事です。
樽の頭を縄で編んでいきます。
ここでのポイントは、綺麗な編み模様が作れるかどうかです。
樽を逆さまにし、下も編んでいきます。
一番太い縄で樽のまわりを縛っていきます。
ここでのポイントは、くたくたにならないように、力を込めて強く縛ります。
最後に細い縄を3本まとめて、樽の周りの上部と下部の方を縛り、完成です!
ここでのポイントは、3本の縄を綺麗に並べながら縛ることです。
いかがでしたか?
写真だけでは分かりにくいとは思いますが、機会があればぜひ動画でもご紹介出来ればいいなと思っています。
個人的に樽をご注文することは、一生に一度あるかないか、人生の分岐点になるようなお祝いの席や、イベント事です。
そんな大事な場面で必要な樽を作るのは、本当に光栄なことです。
「この樽は私のかわりに何を見てくるんだろう」と思いながら、ひとつひとつ丁寧に気持ちを込めて作り続けたいと思います。
written by 鈴木 久則