酒造りの最前線に携わる蔵人が語る、日々の仕事にまつわるあれやこれや。
第二回目は、精米担当の関口が担当します。
こんにちは。精米担当の関口です。
「蔵人日記」という場をお借りできましたので、今日は精米所が普段どんな仕事をしているか、簡単にお話します。
これは地元、八街市の契約農家さんの手で作られた酒米の「五百万石」の玄米が入った米袋です。
中身はこんな感じです。
一袋に30キロ程の玄米が詰まっています。
ちょっと青いのが混じってますね。
これは青米と呼ばれるものです。
未熟なお米というわけではなく、葉緑素がまだ残っているために緑色に見えます。
不思議なことに、これらは精米すればしっかりと白米になります。
まずはこれを一袋ずつ…。
この穴の中に放り込んでいきます。
金網の張られたすり鉢状の穴の底は昇降機につながっていて…。
玄米を貯蔵するタンクに送られて出番を待ちます。
覗き窓の所が茶色くなっているのがわかりますでしょうか。
下から二つ目の窓のあたりで大体30俵(1800Kg)くらいです。
タンクには最大で60俵(3600Kg)入ります。
30Kgの米袋が120袋…何も考えず無心で放り込みます。
出番を迎えた玄米は…。
この緑色の大きな機械に投入されます。
精米機です。
緑の部分が精米機の本体で、上に据え付けられているのは精米タンクです。
まず初めに精米タンクにお米が送られて、重さを測った後に緑の精米機へと落ちていきます。
落ちたお米はほんの少し削られた後、昇降機で再び精米タンクに戻ります。
これを何度も繰り返して精米していく仕組みです。
このズングリとした部分に、バームクーヘンのような形の金剛ロール…砥石が入っています。
回転する砥石とそれを覆う金属カバーの隙間をお米が通り抜け、徐々に削られていきます。
砥石の回転速度が早すぎると米が熱を持ち、割れやすくなるのでゆっくりじっくり回します。
40℃近くまで熱を持つと、自動的に米が送られなくなるセンサーが付いていたりします。
熱は精米の大敵です。
大体70%(玄米の30%を削る)精米だと一日、60%くらいになると2日、50%だと3日間、回しっぱなしの精米機。
精米中はこの覗き窓から米の具合を確認します。
写真撮影時は動いておりませんでした。
パカっと開いた抵抗蓋の奥にあるのが金剛ロールです、青っぽいのが見えますでしょうか。
この写真だと分かりづらいですが、ダイアモンドの配合された非常に大きい砥石です。
今年はこれを交換する機会がありましたが、大変な作業でした…。
おかげで今期はよく削ってくれています。
精米が終わると、白米タンクに移されます。
八街産の酒米は68%精米(32%を削りました)の精白米となり、ここで再び出番を待ちます。
すぐに使いたくても使うことはできません。
精米後、一週間くらいはお米に休憩時間を与えて落ち着かせます。
すぐに使ってしまうと水に触れた途端、ボロボロに割れてしまうのです。
なので精米所は工場長の作成した計画のもと、使いたい時に使えるように予定を立ててお米を精米しています。
最低でも使う一週間前には精米を終えているのがベストです!
所々省略しましたが、いかがだったでしょうか。
精米所は今期分の精米はだいぶ落ち着いてきました。
お米の張り込みがまだ少し残っています…。
腰が痛いです。
written by 関口 裕太