日本酒ものがたり | 飯沼本家

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日本酒ものがたり
第二話 お酒の起源について

酒造り基礎知識

5fd0c1dc-2addd18c新酒の杯を傾けながら考えた。


何事も「はじめ」というものがある。が、はてさてお酒は、どうして今ここに存在しているのだろう。思いっきり「そもそも」論だが、気になって頭から離れない。そして、つまみに作った烏賊の塩辛。自作ながらなんと美味しいことか。これは燗酒にぴったり、と悦に入りながら思い出した。


いつだったか、酔っぱらいの象のことを読んだことがある。それをどこで読んだかはっきりとは覚えていないが、千鳥足で歩く象の群れを見た、という話だった。象達は、どうもある木の実を食べて千鳥足になった…と。


アフリカでは、発酵した「マルラ」という植物を食べて酔っぱらう動物が、度々目撃されるのだという。マルラの実が熟して発酵すると美味しくなる、ということを動物たちはよく知っているらしい。おそらく原始の人達も、マルラかどうかはわからないが、熟した木の実を食べたら甘くて美味しい上に、なんかいい気持になってきたぞ、と思ったに違いない。動物は未だに熟したマルラでいい気持になっているが、私たち人間はそこからなんと進歩したことか。


そう、人間は、自然にできたアルコールを自分たちの手で造ることを考えたのだ。だって、木の実が熟するのを待ちきれないほど美味しかったのだから。


それから気の遠くなるような時間が流れ、醸造酒からさらに強い蒸留酒を造る知識を持った人間はその後、その技術からさらにいろいろなお酒を創造し、今に至っている。時代や地域によって諸説さまざまあるお酒の起源だが、いずれにせよ、おそらく自然に派生したであろうアルコールを「飲みもの」として楽しむに至ったのは、とりもなおさず人間の「欲」のなせる業、であったのだろう。


そんな風にあれやこれやとお酒の起源に思いを馳せていた間に、ふと我に帰れば、新酒を注いだ杯も、塩辛の入った小鉢も、すっかり空っぽになっていた。


 written by イイヌマ ミキコ


 


 

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